9月20日

地球のみなさん、こんにちは。

そしていつもトイレをきれいに使って下さってありがとうございます。

空に浮かんだうろこ雲と乾燥したかかとに秋の気配を感じます。
季節の変わり目には、鬼平犯科帳を読み返すのが慣例となっているのですが、
秋分の日を過ぎていつも通りに鬼平を一巻から再読していて、ふと思う事がありました。

鬼平犯科帳の主人公である鬼平長谷川平蔵宣以)は実在の人物でした。
ただ、作中のように「火付盗賊改め」の鬼の平蔵として活躍したかどうかは定かではありません。
あくまで鬼平をモデルとした作者の鋭意創作に依るものです。

作者の池波正太郎氏は大変な美食家でありました。
そして鬼平犯科帳の主人公である鬼平も、作中では食通であり、作者の遊び心が反映されたキャラクターに仕上がっています。
小柱のかき揚げに舌鼓をうち、軍鶏鍋をつついて酒を飲み、鯉の洗いに頬を緩ませ、サンマの塩焼きを横取りします。
季節の表現が、登場する料理と鬼平の感性によって素晴らしい表現がなされています。

現代の料理を鬼平が食べたら……そんな事が頭に過りました。

そこで今回は鬼平に平成の料理を味わっていただきましょう。

その壱「ナポリタン」
アルデンテ少し手前に茹でたパスタをフライパンに移し、タマネギ、ピーマン、ベーコンを具材にトマトケチャップで味付けします。
鬼平総評
「むう、赤土の大地に良く肥えたミミズがうねるような光景だが…。かすかに覗く翡翠色の草木(ピーマン)に生つばがでるわ。さて、ぬう、こ、これはたまらぬ。胃散のような酸っぱさと(トマトケチャップ)と獣のいぶり(ベーコン)がおれの腹を喜ばせてくれる。おい、伊左地、おまえもこっちに来て一杯やれ」

その弐「ガム」
ガムを鬼平に喰わせます。
鬼平総評
「はた、面妖な…これは板銀ではないのか?ふむ。これは…噛み切れん、噛み切れぬわ。ふふ…おもしろいやつ。剣の道は剛の道。しかし柔の剣は剛では敵わぬ。この餉は柔の剣よ。わが愛刀(粟田口國綱/二尺二寸九分)でも切れぬよ。なあ忠吾。」

その参「ティラミス」
鬼平の口にティライスを放り込みます。
鬼平総評
「なんと…この甘露、えも言われぬ…まるでおなごの乳のようだわえ。しかもこのやわらから…まるでおなごの乳のようだぞ。おお、この香ばしさ、ふふ、まるで若いおなごの乳のようよなぁ。そしてこの見た目よ、まさにおなごの…」
※作中の柔らかさ等の表現は、「おなごの乳」しかありません。鬼平を忠実に表現した結果、こういう表現になりました。私の思想とは関係ありません。

鬼平、おたっしゃで。

ファテリア/サーロインジュテーム